クルマ

【試乗記】トヨタヤリス

ヤリスといえば元々日本ではヴィッツという名前で販売されていたものが、今の代になるにあたって海外と同様のヤリスに名前が変更されたトヨタのコンパクトカー。今回レンタカーを借りる機会があったのでガソリン仕様のそれを借り出した。

レンタカーということで、カタログに書かれた装備表を見る限り、廉価グレードであるXの1.0Lモデルのようだった。それでもトヨタセーフティーセンスの安全装備はしっかり装備されているし、TNGAプラットフォームが使われている。そして何より新車価格は150万円を切る…。え?安すぎない?

普段乗ってる愛車のムーヴキャンバスで車両本体170万、ナビ等含めたら200万を超えるというのに…。

実を言うと値段をはっきり知ったのは帰ってきてから。「安すぎる」と驚くくらいには出来が良すぎた….。

車内空間

まず、車内の装備としては最低グレードとはいえステアリングスイッチもしっかり装備され、タコメーターや水温計までついているし、メーター内にディスプレイも備わる。小物置きも中央に二か所あり、スマホ等を置いておくのに便利だった。スイッチ類の位置も思ったところにあるのでなじみやすかった。

さすがにメーター内の素材に高級感はないが、文字盤が黒なため、夜になれば全く気にならない。と、ここまではいい点のみを書いてみたが、気になる点も多少はあった。

トヨタ自動車WEBサイトより

それはカップホルダーの位置だ。運転席と助手席の間と、ドアの下側に用意されているのだが、どちらも使いやすいとは言えなかった。これが実は、今回一番の不満点だったかもしれない。

キャンバスの場合、窓側のエアコン吹き出し口にドリンクホルダーが装備されているため、視点移動や腕の動きが最小限で済む。長距離のドライブになれば運転中に水分補給したくなることは多いが、ヤリスのそれはそのような場面で使いずらかった。

また、ドアハンドルが少し隠されている作りになっているため、夜は特にごそごそと探すことが多かった。

一般道(市街地)

今回、名古屋市内で借りたため、いきなりなかなかレベルが高い街中を走ることになった。

とはいえさすがのこのボディサイズとTNGA。ちょっと狭い道や混雑した道でも恐れることなく入っていけるし、加速力も十分だ。慣れない土地ということで急いで車線変更をしなければいけない場面でもすぐに隣のレーンに速度を合わせて入り込める(もちろん安全の範囲内で)。曲がる所を通り過ぎて、路地に入り込んでもそのボディサイズが足かせになることはない。

走行モードとしてエコモードが選べるが、路地を走ったり、少し混雑した通りを走る分にはちょうどいいかもしれない。ただ、制御が大分軽自動車に近いので、順調に流れる道を走る場合、40~50キロくらいまでの加速はさすがに物足りなさが出てくる。ある意味燃費を稼ぐ制御はこれが定番なんだな、ということを知ることが出来た。

また、ウインカーを途中まで操作すると5回点滅して自動で消える機能がついていたが、これがいい。キャンバスにも同様の機能がついているが、そちらは3回しか点滅しないため、基本車線変更が終わりきらない。5回点滅に変えれないかなあ…(遠い目)。

一般道(峠)

市街地よりも流れが速く、コーナーも多い峠ではどうか。

正直、ちょっと思っていたよりかは物足りなさがあった。ただ、ボディ剛性というよりもタイヤの問題な気はする。今回のレンタカーに装着されていたのはエコピアだったため、おそらく新車装着時と同等のはず。

コーナーに入っていくとき、いまいち限界が掴めない不安感があった。いくら限界まで攻めないにしろ、あとどのくらいの負荷まで耐えられるかを感じられるかどうかは安心感として大きな違いになる。とはいえ、それ以外は特段の不満はない。踏み込めば登りでもしっかり加速するし、減速力も問題ない。

高速道路

高速道路でもしっかりとした加速性能や安定感ある走りっぷりを見せてくれた。ただ、少し気になったのは段差等のいなし方だ。一般道を走る限りは適度に衝撃を和らげてくれていたのだが、速度が上がるにつれてそれがよくない方向に現れだした。確かに衝撃を和らげる点は変わらないのだが、その後なかなか落ち着かない。ふわふわとした上下の動きが何回か続いてようやく元に戻るという感じ。後ろの席でゆったりうつらうつらするなら気持ちよさそうだが、運転しているとどうしてもそこが気になってしまう…。

その他(燃費・個人的に気になった部分)

やはり燃費は気になるところだろう。今回のモデルは純ガソリン仕様だったが、ほとんど軽自動車と変わらない実燃費をたたき出してくれた。どうしても市街地での走行が少なかったため、実情よりもいい数値が出たことはあるが、それでも1日走って約18km/Lという立派な数値を出してくれた。

また、細かいところだが、Rレンジに入れるとハンドルが普段よりも軽くなるのもなかなか便利だった。切り返しが連続するような場面でも、ハンドルを回す腕が疲れることはないだろう。

一方、これはもしかしたら単純に慣れの問題かもしれないが、速度を一定に保つのが難しいように感じた。これは制御の問題なのか、速度が変化していることに気づきにくかったのかいまいち分からなかったので他の方の意見も聞いてみたいところ。

制御の面で気になったのが、ずいぶんAT車みたいな動きをするな、ということだ。カタログ上CVT仕様なのだが、加速時のタコメーターの動き方が、回転数が上がる→一気に下がる→また上がる→一気に下がる…。という感じで、途中「これ、ATだっけか?」となった。これはいいとか悪いとかはないのだが、純粋に不思議だった部分だ。

まとめ

今回、ちょっと気になる点を多めに書いてしまった…が、それはヤリスが悪いクルマということではない。いくら普通車とはいえあくまでコンパクトカー。そこを考えたときにはあまりによく出来すぎているという感想だ。市街地では車体の小ささとしっかり動くエンジンでキビキビと走っていけるし、サーキットでも走らない限り高速走行も十分こなせる。操作系もシンプルで直感的に使える。それが、150万を切る価格から売り出されている時点で十分すぎる。最高値となる組み合わせでも250万程だ。ちなみに、今となっては貴重なMTモデルも設定されているため、こだわる人にとっても候補に入るはず。とりあえず走りの性能を高めるなら、タイヤとサスペンションを変えればそれだけでも大分出来ることは広がりそうだ。まあそこまでするならGRモデルを買えばその方が幸せになれるかもしれないが()

乗用車販売ランキングでは、2023年、1月から9月までずっとヤリスが首位を保っていた。このランキングは派生車等も含めたもの(派生車:ヤリスクロス等)になっているとはいえ、それだけ売れる理由がある。ファストフードではないが、安い・早い・旨い、そんな車だった。

参考としたサイト等

・トヨタヤリス公式WEBサイト https://toyota.jp/yaris/

・一般社団法人日本自動車販売協会連合会 乗用車ブランド通称名別順位 http://www.jada.or.jp/data/month/m-brand-ranking/

・トヨタレンタカー公式WEBサイト https://rent.toyota.co.jp/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です